御影堂落成慶讃大法会

御影堂大修理円成を奉謝して
 このたびの御影堂大修理は平成12年(2000年)1月に着工、8年の歳月をかけて平成19年12月に落成いたしました。
 本日はその慶びを新たに、遠近各地から大勢のお同行の皆様を迎え、聖人御真影の尊前に於いて、落成慶讃大法会を執り行うことができますことを心から喜び合いたいと存じます。
 思えば専修寺御影堂は、第10世中興真慧上人によって創造されたのであります。天正8年(1580年)に焼失、第12世堯真上人が再建されたものの正保2年(1645年)の大火により再び炎上、第14世堯秀上人が御辛苦の末に藤堂藩の援助を受けて寛文6年(1666年)現在の御堂がほぼ完成したのでありました。代々の上人ならびにその時々の高田門徒の、なみなみならぬ苦難の歴史があることを深く想起すべきであります。
 以来、50年ごとの開山聖人御遠忌のたびに修理の手が加えられては参りましたが、永年の風雪に老朽破損著しく、このたびの大修理となりました。
 御修理に当りましては、文化庁を始め修理委員会の方々から始終懇篤な御指導と御高配に預かり、国および県・市からは多大の援助を賜りました他、文化財建造物保存技術協会ならびに直接工事に当られた業者各位には幾多の困難を超えて精密かつ円滑な工事を推進していただきました。
 殊にまた、派内寺院住職及び檀信徒の皆様から長年にわたって粉骨砕身の懇念を頂戴しましたことは感謝にたえない所であります。
 ここに改めて広大の佛徳を奉謝し、今後御影堂が念佛の殿堂として末永く人々の心の拠り所として栄えるよう、そして来るべき開山聖人750年遠忌報恩大法会を更に盛大にお迎えできるよう切に念ずるものであります。
平成22年5月
専修傳燈第24世 法主 常磐井鸞猷

感謝の心で
 社会の急速な近代化、グローバル化が進む今日、日本人の生活や習慣、考え方に深く関わってきた仏教も又、そのあり方が問われている現在です。
 このような中にあって、本日の御影堂落成慶讃法会のご縁に共々に逢えますことを幸せに思います。おもえば、ご門徒の皆さまをはじめ、有縁の皆さま、又、国・県・市・各位の厚き思い、心温まるご懇念、力強いご助力をいただき、この大修理が円成いたしましたことここに哀心より御禮申し上げます。
 思えば祖師聖人の教えは、名もなき民衆の心の中に一心に念仏する心を育てられ、今日までの長い日月の中、人に優しく美しき仏の心は人の心の中に宿ることを教えられました。今日の宗教に求められているものは、心の救いであると考えられます。心の支えになるべき教え、親から子へと大切に伝えられて来た生活の知恵が軽視され失われつつあります。
 このお堂より「聖人のみもとに帰ろう」のスローガンのもと、来るべき750年の御恩忌法会に向かって、親鸞さまのお話が聞ける場として共々に、歩んで参りたいと存じます。今後も、皆様方の本山へのおはこびと共に、温かいご支援とご協力をお願い申し上げます。
平成22年5月
真宗高田派宗務総長 青木眞曉